本当にあった労働法|⑥障害者雇用と法定雇用率

前回の記事に記載しましたが、私は2013年の前半を初めて入社した会社の総務グループで過ごすこととなります。2013年には障害者雇用促進法の改正があり、1.8%だった障害者の法定雇用率が2%に引き上げられました。
それまで当該企業では障害者の雇用をしていなかったけれど、法改正を受けて工場の清掃業務の担当者として初めて障害者を雇用した、会社としても手探りだといった話が総務グループミーティングで出てきました。私が初めて障害者の法定雇用率という概念に触れたきっかけです。

障害者の法定雇用率とは
障害者雇用促進法では、企業に対して「従業員のうち一定割合は障害者を雇いましょう」と規定しています。現在は常用労働者40人以上の企業が対象となっています。その割合は年々法改正が進んでおり、2026年にも改正があります。

2026年4月→2026年7月で、
雇用義務の対象:常用労働者40人以上→37.5人以上
法定雇用率:2.5%→2.7%
となることが決まっています。

更に障害者雇用には金銭的な仕組みもあり(常用労働者100人以上の企業が対象)、法定雇用率を超えて雇った障害者がいればその人数の障害者雇用調整金が支給される一方で、不足があれば障害者雇用納付金の納付義務が発生します。
尚、障害者雇用納付金の納付は障害者雇用義務を消滅させるものではなく、未達成でかつ努力が見られない場合には行政指導や企業名公表の対象になる可能性もあります。

障害者雇用のための「特例子会社
特例子会社とは大まかに、「障害者雇用のために作ったグループ会社」を指す言葉です。障害者が働きやすい環境を整え、障害者に任せやすい業務を集約した子会社を作り、親会社は当該特例子会社に業務委託をします。条件を満たし認定されると、子会社で雇用した障害者を親会社で雇用したものとみなすことが出来ます。支援・管理体制が整えやすくなり、法定雇用率も達成しやすくなります。

私が最後に勤めたM&Aの会社、入社した当初はオフィスビルひとフロアの半面を賃借していたのですが、もう半面は大手企業の特例子会社が入っていました。水回りなどの共有スペースではその特例子会社で働く人も見かけたため、配慮も含め日常的に障害者と共に働くことを意識するようになりました。

或いは私が客として某ハウスメーカーを訪れた際、そこで出されたお茶の缶に「この製品は当社の特例子会社で生産されたものです」と記載がされていました。特例子会社をうまく活用している一例だと思いました。

新しい雇用の形、「農園型障害者雇用」
最近では、自社で雇用した障害者が農園で働くという「農園型障害者雇用」と呼ばれる仕組みも広がっています。企業は障害者を雇用し、障害者が職場とする農園で採れた野菜を社員に配布するというやり方です。私が最後に勤めたM&Aの仲介会社ではこの取り組みを行っていたようで、障害者の方がその農園で作ったというレタスが支給されていました。屋内で水耕栽培されたもののようで、とても柔らかく美味しかったです。当該野菜はあくまでも社内の福利厚生の品と位置づけることで、事業目的に関する定款変更も不要となります。

障害者雇用に関する意識が高まる一方で、企業の事業内容によっては社内で法定雇用率を満たすことが著しく難しいということはあり得ます。様々な障害者雇用の形として、いい方向に活用されていったらいいなと思います。農園型障害者雇用については様々な意見がありますが、障害者雇用の選択肢の一つとして今後も議論が続いていくのではないでしょうか。

「障害」とだけ漠然と認識しても、自分とは違う自分にはわからない話で認識が止まってしまうかもしれません。しかし、障害と言えどそれはその労働者の特性であり個性、従業員一人一人の特性に合わせた誰にとっても働きやすい職場環境を形成する努力という意味では、障害者雇用だけが特別視されるものではありません。現に様々な方面で活躍する障害者は現在でも沢山います。

働くことはその人の人生を形成する一要素であり、その人の幸せに結びつく手段です。
障害者も含めたすべての人の「働く」幸せは守られるべきです。
これからも様々な動きがありそうな障害者雇用における実態、引き続き注目していきたいと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次