労働者になるためには事業者に雇われる必要があります。そのための活動は一般的には就職活動と呼ばれています。晴れて就職活動を経て企業に採用されると、使用者との間で労働契約を締結することになりますが、様々なことに気を付けなければ後々トラブルの原因となります。
求人票のここをチェック!
突然ですが皆さんはどのように応募する求人を決定していますか。応募先を決定するにあたり、求人票のどこを見ていますか。必ず明示しなければならない事項は職業安定法にて定められていますが、中でもよく確認したほうが良い内容を抜粋してお伝えします。
・給与
働く目的は様々あると思いますが、労働契約において賃金は欠かせない要素です。多くの求人票に月額支給額が書かれていますが、大切なのはその内訳です。基本給の他にどのような諸手当があるのか、定額残業代は採用されているのか、採用されているなら何時間分なのか。特に住宅手当については割増賃金の算定基礎に含まれるかどうか、家族手当については支給対象となる家族の要件などを確認します。
・休日、休暇
まずは年間休日数を見て、その中に何が含まれているのかを確認します。土日祝日がすべて休日であれば、年間休日はおおむね120日前後となります。それより多い場合は年末年始や夏季の休日など会社独自の休日が設定されていると考えられます。逆に120日に満たない場合は祝日や土日のどちらかに出勤する可能性があります。年間休日120日以上を条件に求人を探す求職者もいるため、例えば「休暇」が多いため年間休日が120日に満たないなどの事業主さんに「検索ではじかれます、勿体ないですよ!」とお伝えすることがあります。また、言うまでもなく例えば年次有給休暇取得推奨日なんかをこの年間休日数に含めてしまうような書き方は不適切です。
そして次に、休暇についても確認しましょう。会社独自の休暇はどのようなものがあるか。例えば夏休みが会社カレンダーに設定されておらず「好きな日程で〇日取っていいよ!」制を採用している場合休日ではなく休暇になります。また、慶弔休暇など会社独自の休暇制度があるのかどのようなものがあるのかも確認します。
・勤務時間
始業時刻と終業時刻、そして休憩は何分なのかを確認します。労働時間が6時間を超え8時間以下の場合、休憩時間は45分とされていることがあります。またその際、フレックスタイム制や変形労働時間制を採用しているかどうか、休憩は一斉休憩なのか否かなど可能な限りの詳細を確認します。
求人票の段階でここまで細かく書いてある会社は珍しいかもしれませんが、求人票で分からなかった重要事項は面接や内定後の労働条件確認の際に確認することが推奨されます。
採用面接、ここに注意!
晴れて書類選考に通ったら次は採用面接です。事業者と求職者のマッチングが成立する大切な時間です。確認するべきことは前述しましたが、ここでは採用面接における「不適切にもほどがある!」事例を確認していきたいと思います。
現在、厚生労働省は「公正な採用選考」として、本人の適性・能力と関係のない情報を収集しないよう求めています。例えばですが、
「尊敬している人は?」
…1社目の会社、つまり新卒で入社した会社で聞かれました。私は無難にオリンピック選手を回答しましたが、思想・信条の把握につながるおそれがあるとして不適切な質問内容とされています。聞く方は単なる話題として聞いたのでしょうが、質問される側が嫌な気持ちになる可能性のある質問と認識する必要があります。
「恋人はいますか?」「結婚する予定はありますか?」
…2社目の会社、つまり初めての転職活動で聞かれました。結婚予定や妊娠・出産予定を尋ねることは、男女雇用機会均等法上の性差別や、厚生労働省が示す公正な採用選考の観点から問題になります。聞く方は「どうぞ結婚してください」ぐらいの良かれという気持ちで聞いたと弁解していましたが、初対面の他人に恋人の有無を聞かれて気持ちが明るくなる人はいないでしょう。
「ご結婚されているようですが、妊娠・出産の予定はありますか?」
…2度目の転職活動の時です。まさに不適切、勿論この会社は選びませんでした。「授かりものですし、予定することではありません!」と回答し転職エージェントにも報告しました。ちなみに今は結婚していません、念のため。
「親の職業が〇〇であるようですね…」
…私は一度出向を経験しているのですが、出向先となる事業場に事前の面接に行った際に言われました。採用面接ではありませんが、本人の適性や能力と関係のない家族の職業にまで言及された例です。情報そのものは出向元から流れていると思いますが、そもそも親の職業に触れてほしくありませんでしたし出向先には私と同じく労働のプロがいたはずです、とても残念な気持ちになりました。
労働契約は本来対等な立場で結ぶべきものですが、どうしても事業者と求職者の間には情報の非対称性があります。また、なんとかして内定が欲しい求職者はどうしても下手に出てしまい、対等な立場での採用活動は現実的になかなか難しいかもしれません。だからこそ事業者は求職者に歩み寄る努力、求職者も労働条件を正しく把握し不適切な対応には必要に応じて声を上げることが大切です。


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